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新製品考察−sigmarionIII

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書き途中。

sigmarion IIIのハードウェア。

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sigmarion IIIの特徴としては、何と言っても以下の点が目を惹きます。

この2点を含めて、ハードウェアとしてはほぼ同サイズのsimgarion IIからかなりの革新を遂げています。 主に、simgarionIIの仕様との比較から見ていきます。

小さく高解像度のディスプレイ。

ディスプレイ部にはワイドVGA液晶を採用。 800×480ドットという一世代前のサブノートパソコン画面並みの解像度になっています。 sigmarion IIとの仕様比較は下のようになります。

解像度画面サイズ表示方式
sigmarion II640×2406.2インチカラーHPA65,536色液晶
sigmarion III800×4805インチカラーTFT65,536色半透過型液晶、LEDバックライト内蔵

「大画面搭載」を謳う記事があるものの、この内容からすると画面サイズ自体は小さくなっていることが分かります。 全体サイズと写真からすると画面の縦はIIよりIIIの方が若干長め、横ではIIの方がずっと長く、というところでしょうか。 その他の面では、透過型液晶とバックライトの採用がIIと異なるところです。 IIの登場した頃はPDAの画面の視認性の良し悪しは非常にばらつきがあった頃ですが、昨今ではPDA(特にWindowsCE系とZaurus系)の画面視認性はかなり高いところにボーダーラインがあり、きっちりこのラインより上に載せてきたといえます。

現時点で画面について実感したければ、店頭に行ってsigmarion IIではなくザウルスSL-C700を見てみると良いでしょう。 高精細(引き換えに「細かすぎ」の批判も一部にあります)具合では同等で、これが横方向に1.2倍に引き伸ばされたものがsigmarion IIIのディスプレイの実態に最も近いのではないかと思います。

サイズとキーボード。

画面解像度が大幅に上がったことにより誤解されがちですが、sigmarion IIIとsigmarion IIのサイズはそれほど違いがありません。 仕様では次のようになっています。

サイズ重量備考
sigmarion II189×107×27mm約500g重量はバッテリー含む。
sigmarion III189×117×21 mm約455g重量は標準バッテリー含む。

比較すると、奥行きが1cm長くなっていますが、これは液晶が縦に長くなったのかもしれません。 持ち歩く上ではむしろ、厚みが6mm減り、重量が50グラム弱軽くなったことの方が効いてくるでしょう。 若干、持ち運びやすくなっていることを期待できそうです。

キーボードについては、従来機と同様のsigmarion独自の配列(特殊キーや記号などが標準的なPCの配置とは微妙に異なる)のもののようです。 おそらく奥行きの1cmの差はそれほど打鍵感覚に影響せず、良くも悪くもsigmarion IIと同等ではないかと思われます。 ただし厚みが減ったことでキータッチなどはかわっている可能性はあり、ここにこだわる方は実際に店頭にsigmarion IIIが並んだ時点で触ってみる必要があるでしょう。

外部インタフェース。

外部インターフェースでは、ついにCF(コンパクトフラッシュ)スロット+SDスロットのいわゆる2スロット化が行われて、これまでの不便が大きく解消されそうです。

CFスロットSDスロット携帯電話/PHS接続コネクタFOMA端末接続コネクタPC接続ポート赤外線ポートヘッドホンジャックマイクジャックスピーカ
sigmarion IIType IIなし×1×1シリアルポートIrDA 1.0準拠φ3.5mmなしモノラル
sigmarion IIIType II×1×1PC接続コネクタIrDA 1.2準拠φ3.5mmφ3.5mmなし

sigmarion IIは公式にはAriH"等非対応としていたものの実質的にはsigmarion II発売以降に登場したAriH"端末は使えてしまうことが多く、非公式に使用するユーザーが多かったのが実情です。 その際の最大の問題が、追加ストレージ(メモリ)を挿せる唯一のスロットであるCFスロットがAirH"端末で塞がることでした。 sigmarion IIIではSDスロットが搭載されたことで、同じくCFスロットを使用する@FreeD端末を使う場合でも、SDスロットにメモリカードを指すことが出来ます。 また、普及の進むデジカメや携帯電話でもSDをメモリに使用するものは少なくなく、これらのデータをすぐにsigmarion IIIで開き、使用できるのもsigmarion IIに比べると利便性の高まった点と言えそうです。

この他の点では、オプション品にUSB変換ケーブルがラインアップされている点が目をひきます。 sigmarion IIでは生産元が同じNECであるモバイルギア用のUSB変換ケーブルでFOMA端末接続用コネクタをUSBコネクタとして使えていました。 これもAirH"と同様に非公式な一部のユーザーに限られた使用方法だったようですが、今回は公式なもう少し一般的な使い方となる可能性があります。 おそらく、マウスを使う、といった例は増えるのではないでしょうか。

ただし、CFあるいはUSB接続機器については、PCと同様の扱いが出来るのではない点には注意が必要です。 主にドライバの有無と、USBに付いては給電能力の関連で使えないものは多くでてくるはずで、特に各種ドライブ関連ではあまり期待できないと思います。 実質的には「他のPDAで使えるもので、sigmarion IIIで使えないものはないはず」ぐらいの認識が正しいでしょう。

sigmarion IIIのアプリケーション。

sigmarion IIIはOSがCE.Net(Windows CE 4.1)となりました。 また、画面サイズが大きく変わっています。 同じような経緯があったLinuxザウルスのSL-A300とSL-C700のケースからすると、これまでのWindowsCE系向けに出たソフトウェアが動作することはあまり期待しない方が良さそうです。

元々、購入後に自分でカスタマイズ(ソフトの追加も含む)というのは全員がすることではないので、バンドル・アプリケーションの出来は重要な点です。 しかも、上のような事情があって、sigmarion IIIではこの点が生命線ともいえそうです。

sigmarionのバンドルアプリケーションについては、プロダクトページの「アプリケーション」というページに掲載されています。 また、NECのPDABizソフトウェアのページにはより詳しい情報が出ています。

PIMソフトウェア「GEMini-PIMS」。

PIM(スケジュール、アドレス帳などの個人情報管理)ソフトとしては、PocketPCで採用されていたPocket Outlookの代わりに、MTide社のGEMini-PIMSがバンドルされます。

上記ページに書かれている内容から、全般的な特徴としては次のようなもの。

  • POOM APIを介してPocket Outlookデータファイルを使用。このため、PC上のOutlookとの同期可能。
  • 韓国語、英語、日本語、中国語をサポート。
  • Microsoft Windows CE.NET(4.1, 4.2)およびCE 3.Xで動作。
  • SVGA(800x600)、VGA(640x480)、QVGA(240x320)の画面サイズに対応。

このGEMini-PIMSは、スケジュール、アドレス帳、To Do、Todayを含んでいるようです。 個々のソフトの説明とスクリーンショット、sigmarion IIIページに掲載されているスクリーンショットを見る限りでは、Pocket OutlookよりもPC用のOutlookに似ているように見えます。

次のような点が目を引きます。

  • 住所録(Contacts)はVCFやCSVファイルなどのインポート可能。
  • 予定表は1日表示、週間表示とも、予定の項目名まで表示されている模様。

予定の表示については、項目名がないことが常々PocketPC系では非難を受けてきた部分だけに嬉しいところです。 このまま使いやすいPIMとして登場してくれることを期待します。

ビューア「Picsel Browser」

ドコモの記述を借りれば「HTMLを標準サポートし、さらに、オフィスドキュメントのWord, Excel, PowerPoint?やPDFも表示可能」なビューア、Picsel社のPicsel Browserが同梱されます。 PDABizでは、次のようなデータを表示できるとなっています。

Browser機能HTML4.0相当、JavaScript
Viewer機能Word、Excel、PowerPoint、PDF、JPEG、GIF、PNG、BMP

実際にはこのビューアは同社のePageという、昨年のXScale発表会で公開されて話題を呼んだ技術を実装したのようです。

上のZDNetの記事からすると、ePAGEテクノロジーは最大構成時に次のようなデータの閲覧が可能であるようです。

ePAGEで閲覧可能なデータは,HTML,cHTML,JAVA,Microsoft Word/Power Point Adobe PDF,GIF,JPEG,Postscript,ebook,Macromedia Flash,プレーンテキスト, TIFF,RealPlayer,Windows Media Player,QuickTime,MPEG-2/4,MP3など。

ePAGEについては(うろ覚えですが)、これらの機能がプラグイン形式になっていたように記憶しています。 sigmarion IIIで標準で閲覧可能なデータ形式はPDABizに紹介されている通りでしょうし、将来についても過剰な期待は禁物ですが、もしかしたらかなりパワフルに柔軟に使えるビューア/ブラウザなのでは、と期待させられます。

バンドルアプリケーション全体を評価する。

この他に、主だったところでは次のようなアプリケーションがバンドルされます。

  • Inernet Exploler 5.5 for CE ... Webブラウザ。
  • 受信トレイ ... 電子メールクライアント。
  • Word Pad ... ワードプロセッサ。(根拠は無いが)RTF相当の表現力かと思われる。
  • Windows Messanger ... MSNメッセンジャークライアント。
  • Windows Media Player ... 音楽/動画ビューア。ストリーミングも可。

最近のPDAでは、大別すれば以下の四大分野がソフトウェアの核となっているようです。

PIM系スケジューラ、アドレス帳、To Doなど。
ネットワーク系Webブラウザ、メールクライアント、メッセンジャー。
オフィス系オフィス文書の編集全般。具体的にはワープロ、表計算、プレゼンテーション、簡単なデータベース。
ビューア(マルチメディア)系オフィス文書(閲覧)、画像表示、音楽再生、動画再生。

このうち、PIM系、ビューア(マルチメディア)系はバンドルソフトウェアで満足できそうです。 ネットワーク系も一通り揃っていますが、メッセンジャーについては@FreeDのドーマント方式との相性の悪さが指摘されており、この点だけはあまり期待しない方が良いかもしれません。

今回のソフトウェアラインナップからすると、とても気になるのが残る一分野、オフィス系です。 これまでのWindowsCE機はまず間違いなく、Pocket Officeと呼ばれるWord、Excel、Power Point、Access(後者2点はPocketPC機では省略)の簡易版をバンドルしてきましたが、sigmarion IIIではこれらが省かれています。 かわりに簡易ワープロとしてWord Padを、他の形式のビューアとしてPicsel Browserがバンドルされました。 これについては、こう評価することができるかもしれません。

sigmarion IIIは明確に「家のパソコンと会社のパソコンの間の空間」というPDAの活躍の場にフォーカスしてきた。 データを活用するという成果を最大限生かせるよう強力なビューアを載せた。 一方でデータ入力という面ではメモ取りが可能なWord Padだけを載せ、Pocket Officeを省くことで価格を抑え、コストパフォーマンスを向上した。

ただし、こうした点を考えても、表計算系のアプリケーションが省かれた、というのは大きな影響がありそうです。 次のような点が気になるところです。

  • 日常的に出るメモレベルのデータには、数字のものもある。例えば移動時間や出費(小遣い帖や旅費精算)などは、表計算データとしてメモしておきたい。
  • 表計算ソフトは、実際には計算機代わりとして使われている面もある。
  • 購入者は、PCとの機能比較をしばしば気にする。エクセルデータを扱えるか否かは購買意欲に影響するかもしれない。

表計算ソフトがないという点は、ドコモがビジネス用途を狙うには(そしてユーザーがビジネス用途で購入するには)以外に大きな問題になるかもしれません。 とはいえ、少し期待できる点に、表計算ソフトについては日立のWindowsCE.NET機NPD-10JWLやその後継のNPD-20JWLで、SpreadCEというフリーの日本語にも対応したソフトが動作した、という話があることです。

sigmarion IIIのソフトウェアは、全体にこう評価できそうです。

  • PDA端末としてのPIM、メール、Webブラウジング、ビューア用途にはひとまず満足できる環境がある。
  • 準PC的な扱いをするためのOffice系のソフトウェアには不安が残る。
  • 以下の点は、今後ドコモの取組み、働きかけを期待したい。
    • sigmarion IIIに不足している機能が外部からリリースされているソフトウェアで提供されること。
    • そうしたソフトの内、定番のものに限ってはmobileCustomで簡単に導入できること。

sigmarion IIIを評価する。

sigmarion IIIは「PDA」「キーボード付き」という分野のマキシマムを狙ってきた端末と言えそうです。 PCではないのでできないことはあり、しかしいわゆるPDA端末としては非常に高機能、高性能、高拡張性。 ソフトウェアを見るとビューアが充実しているのにOffice系は貧弱。

まったくの私見ですが、この機種をいくつかの視点で評価する指針を示してみたいと思います。

PDAとしてのsigmarion III。

PDAとしてsigmarion IIIは、次のような特徴でまとめることが出来そうです。

  • 長所。
    • 高精細で、PC向けのWebページや業務上作られるオフィス文書の閲覧にも耐えられる画面解像度。
    • サブノートに近い感覚で入力できるキーボード。
    • 充実のビューア。
  • 短所。
    • 持ち歩きには微妙なサイズ。
    • Excelのないオフィス環境。

あるいは、sigmarion IIを知っている人には、次のように表現することも出来そうです。

  • sigmarion IIの短所を解決。
  • 長所はそのまま。
  • Pocket Excelは削除。

この特徴を、個々人の用途に合せて優先順位をつけ、購入するかしないかを判断することになります。

PCでしか出来ないこと(DVDを見たい、フル機能のオフィスが欲しい、簡易的な開発やネットワーク管理端末にしたい)が必須項目であれば、sigamrion IIIは適していません。 逆に、手帳代わりにポケットから取り出して、スケジュールやアドレスを確認してポケットにしまう、という使い方をするのにもsigamrion IIIは適していません。

PCは大きすぎて/動作が重すぎて外で使うには向かないけど、スケジュールデータやアドレス帳、Officeで作成した資料の内容、Webページやメールチェックをしたい、という用途であれば、sigmarion IIIは良い選択肢でしょう。 少しニッチな使いかただと、同じくPCでは嫌だけれど、外で本格的に文書(テキスト)やメールを書きたい、といった用途にも良いでしょう。

PC代わりの業務端末としてのsigmarion III

現状で言えば、業務端末としてみた時にsigmarion IIIで出来ること、出来ないことは非常にはっきりしています。 そして業務端末として求められる機能はしばしば特殊で、業務ごとにとてもはっきりしています。 つまり、個人用途以上に「どんな機能が必要なのか」「それがsigamrion IIIで可能なのか」のマッチングで、適、不適が大きく分かれる、ということです。

ここでは、業務上の作業として発生しそうな項目を検討します。

まず、Web入力端末として。

  • CGIやJSP、サーブレットを中心としたWebシステムに対しての使用はおそらく問題ないでしょう。
    • グループウェアなどは多くがCGIやJSPで作成されており、中にはPDA向けの画面を用意しているものも少なからずあります。
    • CRMなど、外勤者が使用することを前提としたシステムでもPDA向けの画面を用意しているものも少なからずあります。
  • ASPを中心としたシステムに対しては、使えないかもしれません。
    • しばしば(特に未熟なASP作成者が作成すると)クライアント側で動くVBスクリプトやJスクリプトを多用し、それがないと動かないようなシステムになっていることがあります。
  • クライアント側でフラッシュやJavaアプレットの動作環境が必要なシステムでは使えないでしょう。
    • 一部のERPなど元々サーバー/クライアント方式を取っていた大規模業務システムでは、Web化の方策としてクライアントをフラッシュ化/Javaアプレット化したものがいくつかあります。

次に、外勤者との連絡ツールとなるメール端末として。

  • ほぼ問題なく使えます。
  • メールでオフィス文書のやりとりをすることが多く、しかもオフィス文書に修正を加えて返信しなければいけないようなケースでは不適です。

業務用途ではやっかいな、Web以外のサーバー/クライアントシステム向けの端末として。 特に専用クライアントの流行った、レガシーシステムとの間をつなげるか否かが問題になります。

  • 専用クライアントソフトウェアが必要なこれらシステムには適しません。
    • PDAのOS向けにクライアントソフトウェアをリリースしているものはまだそう多くはありません。
  • telnetやftpなどの代替手段もありません。

最後に、業務用とのスタンダード、オフィス文書を扱うための端末として。

  • 用途が指示書の閲覧など、「表示」に限られるのであれば、適します。
  • 用途が作業工数や進捗度合の入力など、「編集」が主であれば適しません。

前述のとおり、この分野ではまったくの用途見合いです。 例えば工場の部署ごとに「生産指示がExcelファイル形式で、メールに添付されて送信されてくる」「生産の進捗等は生産管理システムにWeb画面から入力する」の2点だけが用途で端末を置くのであれば、sigmarion IIIはその用途に耐えます。 逆に紙だけを扱うデスクワーク者が、日に一度工数を報告するためのExcelファイルに数字を入力するだけ、といった単純な用途でも、sigmarion IIIは適しません。 同じようなケースで、Web上から入力するのだけど出来の悪いASPでVB Scriptが有効でないと使えない、というケース(実は身近にあって困っています)でも、sigmarion IIIは適しません。

業務用と、というのは、あらかじめ使い方がはっきりし、しかも後からそれ以外のケースというのが発生しにくいのが特徴です。 一度sigmarion IIIで良しとなれば、後々の拡張性などを心配せずに導入しやすい環境といえます。 そうなった際に業務端末としてみた時、sigmarion IIIは以下のように良いこと尽くめといえます。

  • PDAの中では使用感覚がPCに近いのでエンドユーザの混乱が少ない。
  • 電源断や取り回しによる障害が置きにくい。
  • 現在のところ、ウィルスや悪意のあるWebページなどによる問題も起こりにくい。
  • 安価である。

sigmarion IIIを使えない業務というのは多々あるでしょうが、使える業務であれば検討には値するで